夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
もう振り返らないつもりだったのに、僕は見上げるヒナタちゃんと目を合わせた。
少し瞳を潤ませて、つまらなさそうに眉毛を八の字にしているその表情が……。
僕に”行かないで”と、言っているように感じて仕方がない。
……何故だろう?
この子に、こんな表情をさせたくない。
会って2回目の少女に、僕はそう感じた。
「……ううん。
お仕事は、ないよ?今日は、お休みだから」
気付いたらそう言って、僕はヒナタちゃんの目の前に屈んでた。
そしたら……。
「じゃあ、いっしょにあそぼー!
ひろばにいって、いっしょにあそぼー!」
「ーーーっ」
パァッと表情を輝かせて、倒れ込むようにして、胸に飛び込んで来るヒナタちゃん。
僕はそれを、咄嗟に抱き止めていたんだ。
腕の中の小さなぬくもり。
それは初めてのはずなのに、僕の腕の中にしっかりと収まっていた。
……
…………。