夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

夏の1日は、長く感じる。
夕方、って時間になっても陽が長くて明るいから……。
ついつい、時間を忘れてしまう。

特に今日は、”このまま陽が暮れなければいいのに”と思わずにはいられない。

彼と子供達と居られるこの時間が、もっともっと続いてほしいもん。

時刻はもう16時近い。
普段なら、子供達を連れて帰る時間だけど……。
私は今日、なるべく時計を見ないようにしていた。


そして、祈ってた。
彼も、時計を見ませんようにって……。


「ーーママ〜ポケでん、かして〜。
ヒナ、マオさんとパシャパシャしたい!」

娘の声に、私はハッと我に返った。


ヒナタの言う”ポケでん”とは、2年程前から登場したポケットに入るサイズの電話。
通称、ポケ電。

ヴァロンが夢の配達人の時に使っていた通信機のような感じで、相手の番号が分かれば電話も出来るしメッセージも送れ合える優れもの。
見た目も通信機より薄くて可愛いし、色んな色がある。ちなみに、私はピンク。
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