夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「マオさんとパシャパシャしよ〜よ!
みんなでパシャパシャしよ〜!」

娘の”マオさんと”と言うフレーズに心が揺れて、私はカバンからポケ電を出した。


「……もう、仕方ないわね。
す、少しだけだよ?撮りすぎちゃダメだからね


と、注意しながらヒナタに渡しつつ、本音は「マオさんの写真が欲しい!」と必死だった。


ヒナ、上手くマオさんをたくさん撮ってくれないかな〜?

そんな気持ちで内心ウキウキしていると、ヒナタの持つポケ電を見てマオさんが言った。


「あ、そのポケ電……。
僕のやつと、色違いだ」

「!……え?」

「……ほら。ね?」

そう言ってマオさんがズボンのポケットから出したのは、私と同じデザインの、白色のポケ電。


「!……本当だ。一緒、ですね!」

「はいっ」

お揃いのポケ電。
そんな些細な事が、こんなにも嬉しい。
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