夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

でも、まさかそんなお願いをしていた事は……。マオさんに言える筈もない。

何と言って納得してもらおうかと、「えっと、それは……」と、誤魔化して答えようとした瞬間。

私には、ふと……。
気になる疑問が浮かんだ。


「っ……マオさん、もしかして……。
私が噴水にお願い事をしてるの、見てたんですか?」

”まさか”と、震える声で質問を返すと、私を見てマオさんが微笑った。


「はい、見てました。
貴女が噴水に背を向けて歩いて、コインを握り締めて、投げる瞬間を……」

「ーーッ!」

私は彼の言葉に、驚きのあまり言葉を失った。


なんという事だろう。
彼はあの時、記憶を失いながらも私を見ていてくれたのだ。

私よりも先に、見付けてくれていた。
約束を、守ってくれていた。
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