夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「っ……ヴァロ……」
「ーーマオ様ッ!!」
約束を破った者に、きっと神様は罰を与えるーー。
愛おしい彼の真名を呼ぼうとした私の声を抑え込む、背後からの鋭い響き。
「マオ様ッ!!」と呼んだその声の主を、私は知っている。
「……ディアス?」
呼ばれた彼が、子供達を追いかける足を止めて、名を呼んだ人物に視線を向けた。
後ろから、彼に歩み寄っていくその人の革靴の音が、コツッコツッと聴こえて……。
横を通り過ぎて行くのを、私は黙って見送った。
……いや。
私は”何も出来なかった”のだ。
何となく感じる、威圧感に……。
声も出せずに、その場に凍り付いたように動けない。
「ディアス。なんで……ここに?」
戸惑った表情でそう尋ねる彼の側まで行った、黒いスーツ姿に長い黒髪を後ろで束ねた男性ーー。ディアスさんは、問い掛けに答えない。
問い掛けに答えず、スッとこちらに顔だけを向けて……。私を、見た。