夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

初めはその指示を”冷たい”と感じたが、私達がいつまでも関与していてはアカリさんもなかなか前に進めないのではないか……。という、ギャラン様の優しさだったのだろうと、今は思う。

噂で無事に2人目のお子である男の子を出産したと聞いたが、同じ港街に住みながら今ではアカリさんと顔を合わせる事はない。

仲良く微笑み合っていた明るい笑顔も、アカリさんの手料理の味も……。
今でも昨日の事のように、思い出せるのに。


ピーッ!ピーッ!ピーッ!

思い出に浸ってついボーッしていた私の耳に、通信機の音が入ってきてハッと我に返った。
次の任務の時間を知らせるアラーム。

現実に、引き戻される。


「あ、すみません。
次の任務がありますので、これで失礼します!」

「気を付けて。
……レナ、無理はしないで下さいね?」

軽く頭を下げてその場を後にしようとドアノブに手を掛けた私の背に、シュウ様の優しい声が聞こえた。
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