夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「……じゃ、お邪魔しました。
夕飯美味かったぜ、ごちそうさま」

私が後片付けを終えると、子供達はすっかり夢の中。
お見送りする為に私も一緒に玄関まで行くと、ユウさんは微笑みながら頭をポンポンッと撫でてくれた。


「いえ、こちらこそ。
ヒナタもヒカルもすごく嬉しそうで……。
いつも、ありがとうございます」

軽く会釈をして、笑顔を返す。

すると……。


「……アカリは?楽しかった?
僕としては、アカリも喜んでくれないと意味がないんだけど?」

「え?……っ」

ユウさんの問い掛けにドキッとした瞬間、身体に感じる暖かいぬくもり……。
私は、彼の腕の中に優しく抱き締められていた。


大切なものを包み込むようにしてくれる、腕の中。

……それなのに。
私の身体は、強張ったように動かなくなる。
私の手は彼の背中に回して抱き返す事も出来ず、抱き締められた体制のままぶらんとしているだけだった。
< 46 / 322 >

この作品をシェア

pagetop