夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
ヴァロンさんの傍に居るはずだったのは、本来リディア母さんと私。
私だって、本当の家族と幸せに暮らしたかった。
私は、目の前に広がるあの暖かい家庭を受け入れるフリをしながら……妬んでいたの。
私があの時にアランに負けたのは、そんな汚い心があったから。
私を優しく受け入れてくれていたヴァロンさんとアカリさんに甘えながら、ふとした時にもう一人の私がチクチクと胸を突いていた。
「良い子じゃなくて……ごめんなさいっ」
独りきりの空間には、返事がない。
両親の想い出が詰まった家の中なのに……。私は今も、独りぼっちだった。
後悔の気持ちから、調査員になりたかったんじゃない。
私は、きっと自分自身が許されたかっただけなのだ。
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