夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
……でも、私は知っている。
アカリが求めているのは、待っているのは、今もたった一人しかいない事を。
もう指にはめてはいないけど、ヴァロンとお揃いの結婚指輪を常にネックレスチェーンに通して身に付けている事も……。
「どうしたの?モニカ」
「!……あ、ジェイク」
ハァッと溜め息を吐きかけた時に名前を呼ばれて、私はハッとするとすぐに微笑んだ。
子供部屋の前の廊下に佇んだままだった私に声を掛けてきたのは、夫のジェイク。
おそらくなかなか寝室に来ない私を心配して、様子を見に来てくれたのだろう。
「なんでもないわ、ごめんなさい。ちょっとボーッしてしまったの。
……さ、寝ましょう?」
「あ、ねぇ!モニカ」
「え?」
心配を掛けたくなくて一緒に寝室に行こうと繋いだ手を、ジェイクが逆に力強く引いて私を止める。
「少し、散歩しない?」
驚いて見つめる私に、彼が優しく微笑みながら言った。