夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「……良かった」
「?……何が?」
「やっと笑ったから。
モニカが、やっと笑ってくれたからさ」
「……」
ジェイクのそう言われて、私はハッとした。
彼は気付いていたんだ、私が元気がない事に。
だから、こうして散歩に連れ出してくれたのだと悟った。
私を見つめてくれる優しい瞳。
出逢った時から変わらない。
政略結婚で親同士が決めた結婚だからと何もかも諦めて、素直になれず我が儘だった私。
そんな私を、ジェイクはいつも優しく包んでくれた。
”出逢い方なんて、関係ありません。
僕と、ここからゆっくり始めませんか?”……。
結婚式当日に、彼は私にそう言った。
結婚をスタートに互いを知って行く、なんて常識破りだと思った。
けど、私を見つめる瞳があまりにも優しかったから……。信じよう、って思えた。
きっとあの瞬間、私はジェイクに恋をしたわ。