夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
血の繋がらない子供達を、実の父親のように可愛がってくれるユウさん。
こんな私を大切にしてくれるユウさん。
付き合うと、返事した。
好きになると、決めた。
だからもう、引き返す事なんて出来ないのに心が強張って、今にも泣き出しそうになる。
「向こうに行って、大丈夫そうなら言おうって思ってた。
……アカリ。僕と結婚して、新しい町で一緒に暮らそう。
今のパン屋さんを辞めて、この街を引っ越して、僕と新しい生活を共にしてほしい」
そう言ったユウさんが、上着のポケットから取り出した小さな箱を開いて私に見せる。
キラリと光る、指輪。
私の誕生石のアクアマリンの、指輪だった。
「……」
「……アカリ?」
「!……ぁ。っ……ごめんな、さい。
びっくり……しちゃって」
名前を呼ばれて、私は咄嗟に誤魔化すように微笑った。
ドクンッと私を刻む嫌な心臓の音が、身体中に響いて震える。