夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

「……分かん、ないよ。
だって、ユウさんの事。そんな風に考えた事、なかったし……」

そう答えて私は少し顔を伏せた。

ユウさんは私にとって幼馴染であり、ずっとお兄さんのような存在だった。
そして、今は私が働くパン屋さんの上司。

ヒカルを産んで1年位経った頃。
前に少し働いていたパン屋さんに久し振りに行ったら、「もう一度一緒に働かないか?」って、店長になったユウさんは私に声を掛けてくれた。

1人で子供を育てている私に色々考慮してくれたり、相談に乗ってくれたり。
休みの日には子供達の遊び相手をしてくれる、優しいユウさん。

そんなユウさんはもうすぐ新しく出来るお店に移動が決まって、先月の私の誕生日にその報告とプロポーズをしてくれた。

「一緒に、新しい街へ行かないか?」って言われた時は冗談かと思ったけど、その後のプロポーズがあまりにも真剣な瞳だったから……驚いた。
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