夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「ははっ、アカリは大袈裟だな。
……。受け取ってくれるだろ?」
軽く笑ってそう言ったユウさんが、指輪を自分の右手に取って……。
左手で、身を縮めるように胸元辺りで握り締めていた私の左手を取った。
ゆっくりと、私の手を自分の方に引き寄せるユウさんの手。
その手はとても優しくて暖かいのに、私の心は”やめて!”と叫び出す。
仕事では完璧なのに、プライベートでは意外に不器用で……。
”遅れてごめん”って照れ臭そうに笑いながら、たどたどしくヴァロンが手作りの指輪をはめてくれた私の左手の薬指。
この手にピッタリはまる指輪は、あの指輪だけっ……!!
想いと共にこぼれ落ちた涙。
それと同時に、私の左手の薬指に指輪をはめようとするユウさんの右手を……グッと自分の右手で押し返していた。