夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
「僕は、ヴァロンさんが羨ましかった。
アカリを笑顔に出来る、幸せに出来る彼に嫉妬してた。
……僕は、ヴァロンさんになりたかった」
これまでの人生で1番というくらいに真剣な想いを、アカリにぶつけた。
僕が言葉を紡ぐ度に、驚きで一度止まっていたはずの彼女の瞳がまた潤みだして……静かに頰をつたり落ちる。
今この瞬間だけは、僕の事を見ていてほしい。
そして、また明日からは……。
僕が恋をした、最高に輝く君でいてほしい。
「あんな風に、真っ直ぐ……。
一途に、僕の事を見てほしいって思ったよ。
……ま。指輪を盗んだり、彼がいない間につけ込もうとした奴には……無理だよな?」
尋ねながら「ははっ」て、少し笑うと。
アカリは小さく首を横に振って、答えてくれた。
その姿が、今すぐに抱き締めてしまいたい位に可愛い。
ああ、僕は……。
本当に彼女が大好きだったんだと、痛感した。
でも、これで終わりにしようと。
僕は小さく深呼吸して、再びアカリを見つめる。