夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
でも、それは間違いだった。
気付かせてくれたユウさんの為にも、もう逃げてはいけない。
写真を見つめて目を丸くするヒナタとヒカルに、私はなるべく分かりやすく話し続けた。
私とヴァロンがとても愛し合って結婚した事。
お仕事が忙しくてあまり一緒には居られなかったけど、とても幸せだった事。
ヒナタを身籠って、産まれて、とてもパパは喜んでくれた事。……色々。
そんな私の話を子供達は写真を見つめたまま静かに聞いていたが、暫くしてヒカルが呟くように尋ねる。
「ひかるのは?……ないの?」
”ひかるのはないの?”
おそらく、自分とヴァロンが写っている写真が一枚もない事に疑問を抱いたのだろう。
私は悲しそうな表情の息子に手を伸ばすと、両手でその小さな顔を包むようにして伝えた。