夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
……好き。
そう、私は……ヴァロンが大好きなの。
今でも鮮明に浮かぶ愛おしい笑顔に鼓動が高鳴って、私は目の前の子供達を包むように抱き締めた。
「パパは、すぐには帰って来られないかも知れない。
もしかしたら……このまま会えないかも、知れない。
……でも。ママと一緒に、ここでパパを待ちながら生きてくれない?」
子供達に悲しい思いをさせたくなかった。
私の勝手な思いで、パパがいないという事で嫌な思いをさせたくないと思った。
……けど。
私が本心を封じて、嘘をついて、偽りの笑顔でいる事の方が、ずっと子供達を傷付けていた。
だから、もう嘘は付かない。
「ママね、今もパパの事が……好きなのっ。
パパの事がっ……大好きなの」
”パパの事が大好き”。
今まで封じてきた想いを打ち明けて、私は子供達の前で初めて泣いた。