夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
まるで私の心が解けるのを今までずっと待っていたかのように、傍にきてくれた。
「……リディア、おいで」
ゆっくりと手を伸ばすとその手に顔をすり寄せながら、猫リディアは喉をゴロゴロ鳴らして甘えてくる。
懐かしい、温もり。
フワフワの毛並みに、まるで幸せなあの日々が還ってきた気がした。
ヴァロンと私と猫リディアで過ごした日々。
暖かい、家庭。
「あ、にゃんにゃー」
「ねこちゃん、でてきたのー?」
「驚かしちゃダメよ?
優しくなでなでしてあげてね?」
今までずっと遠くの隙間から出てこようとしなかった猫リディアが出てきた事に、ヒナタとヒカルは嬉しそうに周りを取り囲む。
ビックリしてまた隠れてしまわないか心配だったけど、もう大丈夫だった。
すっかり和やかになった私達に、猫リディアも安心したように穏やかで、自らヒナタやヒカルにすり寄っていく。