夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
ヴァロン。
私が自分で決めて、彼に”生きてほしい”と願って……。三年前に別れる道を選んだ。
生きていてくれるなら、それだけでいいと思ってた。
……でも、違う。
私は、心の何処かで勝手に期待していたの。
生きていてくれたら、また会える。
ヴァロンならきっと私の嘘を見抜いて、手術が無事に終わったら、また私のところへ帰ってきてくれるんじゃないか。って。
そんな馬鹿で、都合のいい夢を描いてた。
私の決断に何も言わず、一緒に暮らそうと言ってくれたお祖父様の好意を断ってまで住み続けた、港街の家。
それも、ヴァロンへの想いを諦めきれない私の未練。
そして……。
「うぇ〜ん!!」
「ママ〜!ヒカルがころんだぁ〜」
考え事をしていた私の耳に届く息子の泣き声と娘の呼び掛けにハッとすると、いつの間にか泣いたヒカルを抱いた祖父のアルバートが近くに来ていた。