夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】
(2)
【港街/広場】
ヴァロンだと思った。
でも。目の前の男性はなかなか言葉が出てこない私に首を傾げていて、ふと自分の眼鏡が足元に落ちている事に気が付くと、拾って状態を確認していた。
そのそっけない仕草や表情を見ていると、自分の直感がだんだんと間違いだったのかと心が揺れる。
「ま〜ま……」
「!……あ、ヒカル。っ……。
お、お兄さんに”ごめんなさい”……して?」
半信半疑で動揺していた。
が、”もし人違いならばとりあえず謝らなければ”という気持ちが働いた私は、申し訳なさそうに歩み寄ってきたヒカルに謝るよう促す。
「にーちゃ、ごめちゃい……」
「っ……本当に、ごめんなさい。
眼鏡、弁償しますからっ……」
ヒカルと一緒に頭を下げて壊れた眼鏡を受け取ろうと手を伸ばすと、男性は眼鏡を持つ手を引っ込めて首を横に振った。
揺れる少し長い前髪の隙間から覗く瞳が、優しい光を放っていて……。また、私の胸をドキンッと弾ませる。
ヴァロンだと思った。
でも。目の前の男性はなかなか言葉が出てこない私に首を傾げていて、ふと自分の眼鏡が足元に落ちている事に気が付くと、拾って状態を確認していた。
そのそっけない仕草や表情を見ていると、自分の直感がだんだんと間違いだったのかと心が揺れる。
「ま〜ま……」
「!……あ、ヒカル。っ……。
お、お兄さんに”ごめんなさい”……して?」
半信半疑で動揺していた。
が、”もし人違いならばとりあえず謝らなければ”という気持ちが働いた私は、申し訳なさそうに歩み寄ってきたヒカルに謝るよう促す。
「にーちゃ、ごめちゃい……」
「っ……本当に、ごめんなさい。
眼鏡、弁償しますからっ……」
ヒカルと一緒に頭を下げて壊れた眼鏡を受け取ろうと手を伸ばすと、男性は眼鏡を持つ手を引っ込めて首を横に振った。
揺れる少し長い前髪の隙間から覗く瞳が、優しい光を放っていて……。また、私の胸をドキンッと弾ませる。