ひとり戦場に行く君へ



君がようやく会話を出来るくらいに回復した頃、



また出頭命令の通知が来た。



まだ完全には回復していないのに。



腹が立って涙が出た。



政府は、国は、人の命をなんだと思っているのかと。



こんな大怪我をした後に、また戦場にこいという。



次はどうなるか分からない。うちどころが悪くて死ぬかもしれない。



二度と帰ってこないかもしれない。



怖くなった。怖くなって、君を抱きしめた。



本人を差し置いて、声を上げて泣いてしまった。




行かないで、行かないで。そんな気持ちを持ちながら。




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