ひとり戦場に行く君へ
だけどそれら全て、口には出せなかった。
決意を込めた強い目を近くで見てしまったから。
いつの間にこんなに大きくなっていた。
守りたいと、昔の君からは出てこないような言葉だった。
それに何より、
わたしを抱きしめた腕が少しだけ、震えていた。
そんな震えながら言ってくれた言葉を。
くれた気持ちを。
無駄には出来ない、そう思う自分が大嫌い。
泣き叫んででも引き止めてほしい、わたしに。
でもどうして、何も言葉にならない、口から出てこない。
わたしは目を閉じた。目を閉じて、君を抱きしめた。
気持ちとは正反対に、
ありがとう、行ってらっしゃい。
と声に出して。