ひとり戦場に行く君へ
ようやく目的地に着いた時、
僕は懐かしい女性と会った。
「先生!」
小学校の頃の担任の先生。
先生はゆっくりと振り向き、涙を浮かべながら微笑んだ。
「無事に帰ったと連絡があった時は泣いて喜んだものです。こうして会えるとは、本当に嬉しい。」
先生はそう言ってハンカチで涙を拭った。
面構えが立派になったとか、軍服が似合っているとか、嬉しそうに沢山褒めてくれた。
そして、ふと僕が持っているものに目を向けた。
「それ…もしかして、みゆちゃんの…」
口元で手を覆って、丸い目をする先生の癖のような仕草が懐かしい。
「あ…うん。これだけは、何故か綺麗に残ったらしいので。日記…なんですけど。」
僕があまりに大事そうにしていたからか、先生がまた泣き出した。