魔王と王女の物語 【短編集】
「私は具体的には何をすれば…」
「じっとしてりゃいい。オレが適当にいじる」
…何故かいやらしい響きにアマンダは顔を赤くして海に潜る。
コハクはただ純粋にあの尻尾を観察したいだけだったが、同時に自身の赤い瞳が魔物たちの気を引いていることも知っていた。
もうこの世には存在しないと言われている魔法使い。
コハクはそのたったひとりと言われる魔法の使い手。
「いやらしいことしないでしょうね…」
「そだな、上半身はありかもだけど下のは観察してみねえとな」
にやりと笑ったコハクは、さらに押しの一手を放つ。
「人間の足が手に入れば王子とも楽しいことができるだろ。人魚は精魂搾り尽くしてから食うって言うじゃねえか」
ーー人が勝手に作り出した人魚のイメージ。
アマンダはむっとしてまた岩礁に座ると、コハクを睨みつけた。
「それは一部の仲間の話よ」
「一部ってことはやっぱ間違ってねえんだろ?オレはお前と王子がどうなろうが興味ねえよ。とりあえずチビがなんとかしたいっつーからさ」
「…魔王が王国の王女に入れ込んでるって話は本当だったのね」
そんな噂が出回っていたことを知らなかったコハクは無邪気に笑ってアマンダをどきっとさせる。
「ああそうだぜ、チビは嫁さんなんだ。可愛いだろ!やんねえからな!」
…裏表が甚だしい魔王の態度。
そこがまた魅力的とも言えるわけで、アマンダはコハクに心を囚われないよう細心の注意を払いながら問いかける。
「呪いって危険なんでしょ?」
「もちろん。その分得られるものもある大きいぜ。例えば王子と結婚できたり」
ーーなんとも魅力的な誘惑だ。
助けてくれた人間の男に本気になってしまうなんて自分でもどうにかしていると思ったが…
「いいわ、教えて」
誘惑には抗えなかった。
「じっとしてりゃいい。オレが適当にいじる」
…何故かいやらしい響きにアマンダは顔を赤くして海に潜る。
コハクはただ純粋にあの尻尾を観察したいだけだったが、同時に自身の赤い瞳が魔物たちの気を引いていることも知っていた。
もうこの世には存在しないと言われている魔法使い。
コハクはそのたったひとりと言われる魔法の使い手。
「いやらしいことしないでしょうね…」
「そだな、上半身はありかもだけど下のは観察してみねえとな」
にやりと笑ったコハクは、さらに押しの一手を放つ。
「人間の足が手に入れば王子とも楽しいことができるだろ。人魚は精魂搾り尽くしてから食うって言うじゃねえか」
ーー人が勝手に作り出した人魚のイメージ。
アマンダはむっとしてまた岩礁に座ると、コハクを睨みつけた。
「それは一部の仲間の話よ」
「一部ってことはやっぱ間違ってねえんだろ?オレはお前と王子がどうなろうが興味ねえよ。とりあえずチビがなんとかしたいっつーからさ」
「…魔王が王国の王女に入れ込んでるって話は本当だったのね」
そんな噂が出回っていたことを知らなかったコハクは無邪気に笑ってアマンダをどきっとさせる。
「ああそうだぜ、チビは嫁さんなんだ。可愛いだろ!やんねえからな!」
…裏表が甚だしい魔王の態度。
そこがまた魅力的とも言えるわけで、アマンダはコハクに心を囚われないよう細心の注意を払いながら問いかける。
「呪いって危険なんでしょ?」
「もちろん。その分得られるものもある大きいぜ。例えば王子と結婚できたり」
ーーなんとも魅力的な誘惑だ。
助けてくれた人間の男に本気になってしまうなんて自分でもどうにかしていると思ったが…
「いいわ、教えて」
誘惑には抗えなかった。