【完】愛して...
っっ!..
苦しい。息ができない。
空気を求め口を開けたり閉じたりするがうまく息が吸えない。
そうしてる間にも苦しさは増していく。
「大丈夫だ。尊。」
そう、あおの声が聞こえた。
っっ!っはぁっ!...
苦しい。あおっ!助けて!
「尊。俺を見ろ。今は俺しかいない。」
パニックになっている私の背中を優しくさすっている。
私はゆっくり目を開け、あおをみる。
『...っっ!、ぁお?.....』
目の前にいる。あおによびかける。
「あぁ。」
やさしい声であおがこたえる。
その目は私を見るあの人の目とはちがう、優しい、透き通った綺麗な目だった。
『ハァハァ..あぉっ!.....』
その目を向けられるのが嬉しくて、
その優しい声が聞きたくて、もう一度あおをよぶ。
「なんだ。」
決して、私を邪険にしない。
安心させるような声色。
それを知ってしまったらもう一人になることなんてできない。
『...どこにもっ..行かないでっっ』
「行かない。お前のそばにいる。」
あのくらい部屋で一人でいるのはもういやだ。
一人になりたくない。
『....ひとりにっ...っっ』
ひとりにしないで。
そう言おうとした。うまくできない呼吸のせいで最後まで言えない。
「ひとりにしない。あいつらもいる。」
なのに、あおは私の考えてることなんてわかってしまう。
ほしい言葉もくれる。
『っっ.....ほん、と?』
「約束する。だからもう寝ろ。」
そう聞いて安心した私はまた眠りにつく。
隣にだれかいる。その事に嬉しさを感じつつも
いなくなってしまうのが怖く、あおの胸元に顔を押し付ける。
ゆっくり聞こえるあおの心臓の音とあおの体温に包まれて私は意識を手放した。
side 尊