【完】愛して...
『そして、昨日。その組織から逃げ出して、捕まりそうなとこを、あお達に助けてもらった。』
昨日の夜。あれはほんとに奇跡に近い。
5年間、1度も開くことのなかった南京錠で閉じられていた頑丈な扉。
それがあの日は開いていた。
これまでにないチャンス
逃げた事がすぐばれて、追っ手がすぐそこまで来ていたし、実際囲まれた。
けど、あお達が、助けてくれた。
「あなた、これから行く宛は...あるのですか?」
翠が遠慮がちに聞いてくる。
行く宛...ない。
家族もいない。友達なんてもってのほか、
おばあちゃんももう、死んだ。
『..ない。』
私に居場所なんて.....ない。