悪魔の囁きは溺愛の始まり
「俺達に足りないのはお互いの過去の信頼。」

「きっとそうだね。」

「俺は一花を完全に信じてない?」

「私も完全に信じてないんだね。」


小説のような出逢いかもしれない。

運命のような展開かもしれない。

だけど私達には信頼が足らない。


「一花、もう二度と聞かない。だから最後にもう一度だけ約束してくれ。」

「うん、私も。」

「俺の前から消えるな。」

「約束する。蒼大さん、私を本当に好きでいてくれる?」

「ああ、嘘じゃない。俺の言葉に嘘はないから。」


目に入っくるのは海だけの景色。

夕日が海に映り、幻想的な景色を見せてくれている。

綺麗な景色にテラスにいる誰もが魅了されているだろう。

蒼大さんの手が私の手を包み込む感触に、海の景色から視線を動かした。


「一花、今のプロジェクトが落ち着いたらハワイに行かないか?」

「………。」

「二人だけで過ごしたい。」

「わかった。」

「約束だ。」

「うん。」


包み込むように繋がれた手に力が籠められる。

私達の祈るような想いが繋がれた手から感じた。
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