悪魔の囁きは溺愛の始まり
変な事を言い出す渡部さんに、濱田さんの目が点になっている。

私と渡部さんを交互に見ている。

絶対に誤解してる!


「渡部くん、青山さん狙い?」

「そうだけど?」

「…………。」


無言になる。

私もこの話には関わりたくなくて席を立とうとしたが、濱田さんの笑みが怖い。


「青山さん。」

「えっ?」

「渡部くんも狙ってるみたいよ。」


周りの視線が痛くて仕方ない。凄く注目されている気がする。

社内で人気の高い渡部さんの話だ。

女子社員の視線が怖い。


「でも青山さんには彼氏がいるんだよね?」

「あっ、はい。」

「渡部くんは?」

「…………上司です。」

「狙って?」

「ないです。」


渡部さんには悪いが、ここはハッキリと言うべきだ。女子社員に誤解されては、この先、生きた心地がしなくなる。

濱田さんが渡部さんの肩を叩いた。


「残念。」


濱田さんは怖いもの知らずなのか?

同期の仲だろうが……相手は渡部さんだ。

なんか濱田さんを睨んでる。
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