悪魔の囁きは溺愛の始まり
兄の心の闇
段々と忙しくなるプロジェクトに、私も渡部さんも毎日が忙しくなっていった。

蒼大さんと出掛ける回数も徐々に減り始めていた。

それは蒼大さんも同じように忙しいし、それほど気にはしていなかった。


「青山、この資料の修正しておけよ。明日の朝イチでレビューだ。」

「はい。」

「明後日はマリンの本社で会議がある。この資料を提出するから。」

「わかりました。」


今日も遅くなりそうだ。

一息入れようと席を立ち、自販機のある休憩室に向かいながら、メッセージをチェックする。


『何時に終わる?飯でもどう?』

『すみません。仕事で遅くなりそうです。』


蒼大さんへ返信する。

携帯の時間を見れば、もう20時を過ぎていた。


「はぁ~、疲れた。」


誰もいない休憩室で大きく伸びをした。


「一花、遅くなりそうか?」


誰もいないと思っていたら、私の背後から兄が来ていたようだ。

びっくりして振り返った。
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