悪魔の囁きは溺愛の始まり
すぐに携帯にメッセージが入る。

蒼大さんかと思いきや………

『一花、送る。終わったら副社長室に来い。』

兄からのメッセージだ。

冷たいかと思いきや、ちゃんと甘やかしてもくれる。まさに飴と鞭を使い分けている。

『ありがとう。』

素直にメッセージを返信した。

気持ちを入れ替えて席に戻れば、隣には仕事に集中している渡部さんが座っていた。


「青山、まだまだか?」

「いえ。」

「分からなければ、すぐに聞け。時間が勿体ないから。」

「はい。」


ずっと渡部さんの下で教えて貰えると思っていた。

厳しいがちゃんと面倒はみてくれる。

渡部さんも今の仕事を楽しんでいるのに………。


「青山、集中しろ。徹夜になりたいのか?」

「いえ、頑張ります。」

「ほら、飴でも食べろ。糖分不足だろ。」

「ありがとうございます。」


飴を頬張り、気持ちを入れ替えて集中した。
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