悪魔の囁きは溺愛の始まり
兄の車で家に送ってもらうが、いつもとは違う雰囲気の兄をチラリと見た。

何も話さず、無言の様子がいつもとは違う。


「お兄ちゃん?」

「ん?」

「悩み事でもあるの?」

「なんで?」

「いつもと様子が違う気がするから。」


前を向いて運転する兄が私を見たが、一瞬で逸らされた視線が気になる。

本当にお義姉さんと上手くいってないの?

帰りの遅い兄を家で待っているのだろうか?


「お義姉さんと何かあった?」

「別に何もない。」

「なら、いいんだけど。」


兄の結婚は親同士が進めたお見合いだ。

その時、兄に彼女がいたかは知らない。

でもお義姉さんは凄くいい人だし、おっとりしたお嬢様って感じで、兄とも仲良く過ごしていると思っていた。


「一花、着いたぞ。」

「うん、ありがとう。帰ってから、ご飯?」

「葉月(はづき)が作って待ってるからな。」

「お義姉さんに謝っておいて。私が遅くなったんだし。」

「気にしなくていい。一花、おやすみ。」

「うん、おやすみ。」


車から降りようとドアを少し開ければ、外からドアを開かれ驚いた。
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