悪魔の囁きは溺愛の始まり
もしかして蒼大さんと一緒にいる姿を目撃されてた?


「相手は『花ちゃん』だって噂が少し出てるんだ。」

「私?」

「蒼大と話してたのを目撃されたみたい。」


どこかで見られてたのか?

それとも―――


『岡崎部長は絶対に振り向かない人だから。』


再会した日、女子社員は私と蒼大さんを疑っていた節はあった。

もしかして噂はそこから?


「蒼大の奴、モテるのを自覚してる癖に、社食で嬉しそうに俺達に話してたからだろ。」

「えっ?」

「『花ちゃんと付き合う事になった』って。噂が広まる筈だ。」

「………。」


何も言葉が出てこなかった。

そんな話を社食でするとか…………あり得ないんですけど。

春馬さんの席にもう一つ椅子が運ばれ、隣同士で座り、PC画面の設計図を二人で覗く。

そこからは仕事の内容に頭を切り替えた。


「花ちゃん、お願いします。」

「はい。春馬さん、いえ、水越さんもお時間をありがとうございました。」

「堅いな、花ちゃん。」

「一花です。」


春馬さんがエレベーターまで送ってくれた。
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