悪魔の囁きは溺愛の始まり
聞こえてくる声に微かに目が覚めてきた。

楽しそうな男女の声が近くで聞こえてくる。声の主は琴音と波羽の声だ。どうやら男の人と話しているようだ。

『ナンパでもされたのかな?』

まだ眠気の残る頭で目を徐々に開いていく。


「あっ、起きた?」

「………。」

「あれ?起きてない?」


目の前に見える顔は見知らぬ男だ。私の隣に図々しくも寝転んでいるようだ。

そんな男をシャットアウトするように目を閉じていく。


「また寝るの?セクシーなんだけど、目のやり場に困るんだけど?」


その言葉に目をパチリと開ける。

そうだ!ビキニのままで寝てたんだ。

ハワイの開放的な感覚にビキニのままで寝ていた事を思い出した。

目の前の男に冷たい声が出ていた。


「眠いから別の女をナンパして。」

「………。」


顔を反対へと向けて目を閉じた。男は完璧に固まっていた。

見た目は悪くない、いや、凄くイケメンの部類に入るだろう。

だけど寝起きの悪い私は気にもしなかった。
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