悪魔の囁きは溺愛の始まり
あんなに嫌悪していた蒼大さんの過去も気にならない程、今の私は幸せに満たされている。

二人で寄り添える時間を幸せに感じていた。


「はぁ~。」

「ん?」


蒼大さんの大きな溜め息が頭上から聞こえてきた。

体を少し離して顔を見上げてみる。


「蒼大さん、どうしたの?」

「一花、最近、俺の部屋に来なくなったよな?」

「あっ、うん。機会がなくて。」

「違うだろ。」


蒼大さんの目が私を見据え、甘い雰囲気はいつの間にか消えていた。

獲物を狙うような目と目が合う。


「一花、まだ気にしてるのか?」

「………。」

「俺に抱かれるのは嫌?」

「………。」


小さく囁かれた言葉に、蒼大さんを傷つけているのが伝わってくるが、私にも覚悟は必要な気もする。

『割り切った関係』

万が一、私も同じだったらーーーー

幸せな関係が壊れてしまうのでは?

この幸せが壊れてしまうのが怖い。
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