悪魔の囁きは溺愛の始まり
別に盗聴とかされてないし。

何が気になるの?


「盗聴とかじゃないから。ただ心理的な問題だ。」

「なら任せるよ。」

「ああ。」


すっかり気分はハワイ旅行だ。

楽しみで仕方ない。

妄想がどんどん膨らんでいく。

ソファーから立ち上がった瞬間、腰に腕を回されて止められた。

蒼大さんを見下ろせば、腰に抱きつく姿が目に入る。

チラリと時計の針を見た。


「遅くなるよ、蒼大さん。」

「チッ………、早く一緒に暮らしたい。」

「一段落したらって話でしょ。」

「ほぼ完成してるだろ?」

「してる。だけどマリンの意向と合ってるかは分からないから。」

「合ってる。一花のセンスなら………。」

「春馬さんの意見もあるから。」


結局、私の部屋から帰る時は、いつも仕事の話になっている。

私の腰を強く引き、ソファーへ座らせた蒼大さんの顔が近づいてきた。

帰りのキスだ。

別れを惜しむように何度も重なる。
< 165 / 200 >

この作品をシェア

pagetop