悪魔の囁きは溺愛の始まり
私達の休暇が始まった。

仕事も随分と落ち着いたが、逆に蒼大さんが忙しくなり始めていた。

約束通り、私達は休暇を利用してハワイへやって来た。

二人で旅行なんて緊張するけど、蒼大さんと一緒にいたい気持ちの方が勝っていた。


「あ~、疲れた。」


ベッドに寝転ぶ蒼大さんを見れば、大の字で大きなベッドに寝転んでいる。

今回の休暇の為に仕事を終わらせて来たのだろう。

目を閉じて寝転ぶ蒼大さんは寝てしまいそうな雰囲気だ。


「…………。」


静かな時間が流れていく。

案の定、ベッドに寝転んだまま動かなくなった蒼大さん。

自然と笑みが浮かんでくる。

安心して寝ている姿は案外と嬉しいものだ。


「お疲れさま、蒼大さん。」


小さな囁きだけが部屋に響いた。

寝ている蒼大さんの顔を眺めてみる。

起きている時とは違い、寝ている姿は無防備で可愛い。

頬にそっと触れてみるが、起きる気配はない。


「可愛い。」


蒼大さんの寝顔をずっと見ていた。
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