悪魔の囁きは溺愛の始まり
頬をちょんちょんと突っつかれ、恥ずかしくなってくる。


「一花、真っ赤。」

「………先にご飯でも行かない?」

「先に……ね。」


蒼大さんが体を起こして私を見下ろしている。

絶対に考えてるフリをしている。

ニヤリとした顔から想像がつく。


「ん~、ダメ。誘惑には勝てない。」

「いや、まだ明るい………。」


外を見れば、すっかり日も落ちていた。

寝すぎた?


「暗いみたいだね、一花。」

「………。」


再び、蒼大さんが覆い被さってきた。

鼓動が加速していく。


「一花、待てない。」


蒼大さんの言葉を最後に唇が重なる。

緊張がピークに達しそうで、蒼大さんの胸を押し返してしまった。

息の上がる私を見下ろす目と合う。


「一花、嫌?」

「そうじゃなくて…………緊張が…………。」

「俺も同じだから。」

「絶対にしてないでしょ。」

「してる、ほら。」


蒼大さんが私を抱き締めて胸へと押し付ける。

いつもより速い鼓動が聞こえてくる。


「だろ。」


再び落ちてきた唇に、今度こそ身を任せる覚悟を決めた。
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