悪魔の囁きは溺愛の始まり
『今夜は徹夜だ!』

と張り切る蒼大は部屋でゆっくりしたいみたいで、まったりと寛いだ。

夜が近づくにつれて、蒼大がソワソワし始めた。


「蒼大?」

「ん?」

「落ち着きがないよ。」

「あっ、うん、今夜のカウントダウンが楽しみで。」

「ふふっ、変なの。」


笑って見せても……顔が強張っているように見える。

不思議に思いながらも夜出掛ける準備を始めた。

ビーチでのカウントダウンには凄い人が集まり、盛大に花火などが上げられる。

私達も海に上げられる花火を見に行く予定だ。


「一花、行ける?」

「うん。」


洗面所の外から聞こえてきた声に返事した。

もう一度だけ洗面所の鑑を覗いた。


「来年も良い年になりますように。」


自分自身に囁いた。

『今年の幸せがずっと続きますように』

鑑の中の自分をじっと見つめた。


「一花?」


名前を呼ばれてハッと振り返れば、怪訝な表情の蒼大がドアから覗いていた。


「何でもない。行く?」

「ああ。」


未だに怪訝な表情をしている蒼大と夜のビーチへと出掛けた。
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