悪魔の囁きは溺愛の始まり
賑わうビーチを手を繋いで歩く。

イベントが彼方此方で行われている。

賑やかなニューイヤーズ・イブがクライマックスを迎える時間にはビーチに人が溢れる。

カウントダウンにはエキサイティングな光景が見られる。


「凄いな、人が。」

「見たいのは皆同じって事だよね。」

「ああ。」

「今年も終わりね。」

「俺達は何も変わらないけど。」


蒼大の言葉が胸の奥に浸透していく。

不安な気持ちなんて、必要ないんだと思わされる。

『私達は何も変わったりしない。』


「あっ、いや、変わるか。」


「えっ?」


驚きに蒼大を見上げれば、ニヤリとした顔を見せていた。

今度は私が怪訝な表情をした。


「変わるの?」


小さな声が吐き出されていた。


「ああ、変わるかも。」


繋がれた手を強く握り締められた。
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