悪魔の囁きは溺愛の始まり
蒼大の言葉に不安が募り始める。

『変わるかも?』

頭の中をグルグルと言葉が回っていた。

よっぽど上の空なのが可笑しかったのか、蒼大がクスクスと笑いだした。


「一花の気持ちも分かったし、俺も緊張が和らぐ。」

「緊張?」

「ああ。」


緊張が和らぐ?

カウントダウンって緊張する?

今度は頭の中をクエスチョンがグルグルと回り始めた。

突然、花火が上がり始めた。


「一花、始まるぞ。」

「うん。」


カウントダウンに向けて、ゆっくりと打ち上げられる花火を観光客が見上げている。

私達も綺麗な光景を目に焼きつけるように見つめていた。

盛り上がり始めるビーチに相反して私達の間には沈黙が流れた。

何処からともなくカウントダウンが聞こえてくる。


『10』

『9』

………………

『2』

『1』


年明けと同時に、ゆっくりと打ち上げられていた花火が盛大に打ち上げられ始めた。
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