悪魔の囁きは溺愛の始まり
ふと疑問に思った事を聞いてみた。


「いつからハワイに?」

「ん?昨日かな。」

「本当?」

「気になる?」


そう言われると口を噤んでしまう。気になるけど素直に気になるとは言えない性格なのだ。

クスリと笑われたのが分かった。


「案外、花ちゃんは負けず嫌い?」

「………かもね。」

「ふ~ん、そうなんだ。」


二人で海辺にある店内に入る。慣れたように、蒼大さんが真っ直ぐに向かっていく。

その行動に何度も訪れていそうな雰囲気を漂わせている。

フードコーナーのメニューを見上げるが―――


「お薦めがあるから。」


蒼大さんが流暢な英語で勝手に注文を始めた。


お薦めね………


完璧に馴れている。毎回、女には奢っているんだろう。それもお薦めを………。

ちょっと嫌悪感が沸き始めた。

お互いが本音では語ってはいない。それにハワイという旅先での場所。

お互いが本気ではない。

それを痛感した気がした。
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