悪魔の囁きは溺愛の始まり
ビーチの入り口辺りにいる顔触れに私の足が止まった。

話に盛り上がっていた二人が私を見て、その視線の先を目で追った。


「嘘、あれ。」

「マジか?違うビーチにする?」

「今から違うビーチは時間がなくなるって。」

「なんで入り口にいるの?ナンパ?」

「かもよ。どうする?」


昨日の3人組がビーチの入り口辺りで話している。固まる私達に彼らの視線が向けられる。


「ヤバくない?」

「気づかれた?」

「一度、帰る?」


そんな会話を微動だにせず私達がしていれば、彼らが近づき始めた。

私は背を向けて歩き始めた。波羽、琴音も私の隣へと駆け寄ってくる。


「なんで?」

「わかんない。一度、帰ろ?」

「だね。もしかして気のせいかもしれないし、出直そうか。」


小声でひそひそ話をしながら、速足でコンドミニアムへと急ぐ。

コンドミニアムへ到着したと思ったら、肩を掴まれて足が止まった。

後ろへと振り返れば、案の定、笑みを浮かべる蒼大さんがいた。
< 33 / 200 >

この作品をシェア

pagetop