悪魔の囁きは溺愛の始まり
蒼大さんが飲み掛けのミネラルウォーターを私に渡してきた。


「飲めよ。喉乾かないか?」

「飲み掛けなんだけど?」

「今は1本しかなかった。」


本当か嘘か分からない。でも喉も乾いたので一口ミネラルウォーターを口に含む。

冷たい水が体に染み渡るのが分かる。


「俺にもくれ。」


手から奪われた水を飲む蒼大さんを見る。整った顔が私の瞳に映る。


「毎回、ナンパしてるの?っで、こうやって部屋に招くの?」

「部屋になんて招く訳ないだろ。花が初めてだし、逃げられたのも初めて。女と喧嘩したのも初めて。」


クスクスと笑う蒼大さんを見つめる。


「俺、本当に逃がしたくないって思った。一目惚れもだし、喧嘩するのだって俺には初めての体験だし。」

「女と喧嘩しない?」

「しないってか………ならない。」

「ふ~ん。」


蒼大さんから海へと視線を向ける。


「花、連絡先を教えて。」

「………連絡先?」

「毎日でも会いたい。」


蒼大さんの甘い囁きが聞こえてくる。
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