悪魔の囁きは溺愛の始まり
会議室に入れば、すでにマリンコーポレーションの社員が座っていた。

お互いに挨拶をして私は渡部さんの隣に腰掛けた。


「すみませんが、もう少しお待ちください。部長が電話対応中ですので。打ち合わせ時間には間に合いますから。」


マリンコーポレーションのプロジェクトリーダーが話し掛けてきた。私はにっこりと頷いた。

プロジェクトリーダーの視線が何故か私で止まっている。

私は首を傾げれば、視線は外された。


「見た目は美人だもんな、青山。」


渡部さんの呟きが聞こえてきた。


「ただ………性格がキツいし、冷めてるから彼女にはしたくないタイプだな。」

「…………。」


渡部さんの呟きに横目で睨んだ。クスリと余裕の笑みを見せる渡部さんの資料に手を伸ばした。


『ドS』


書いてやった。それを可笑しそうに笑う渡部さんを無視する。

たまに感じる視線は多分だけどプロジェクトリーダーだろう。

チラチラと見られているのを感じる。


「見た目だけはな。」


渡部さんの呟きを今度は無視した。
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