悪魔の囁きは溺愛の始まり
「花、今日はずっと一緒にいたい。」

「…………。」

「別に何もしない。ただ一緒に朝まで過ごして、ブランチして空港に見送る。」

「………。」

「ずっと一緒にいたい。」


蒼大さんの甘い囁き、私を見つめる瞳が懇願しているように見える。


「花、ダメか?」

「わかった。荷物を纏めたいからブランチの前に一度帰るね?」

「ああ。」


笑みを見せる蒼大さんに心が痛んだ。

何故なら―――


『花、明日は空港に12時だよね?』

『うん、早いけど仕方ないね。』

『ああ~、バカンスも終わりか。私のバカンスの恋も終わりだね。』

『春馬さんとは東京では会わないの?』

『バカンスはバカンス。東京では新しい恋を見つける。バカンスの恋は本気の恋じゃないでしょ?』

『音、わかってる~。花は大丈夫?音より恋人っぽい雰囲気が出てるよ。』

『うん、大丈夫。』

『連絡先は聞いたんでしょ?教えたの?』

『ううん。連絡先も東京では繋がらないかもしれないし。』


今朝、私達はそんな会話をしていた。
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