悪魔の囁きは溺愛の始まり
渡部さんと並んで会社へと向かう。


「青山、遅かったな。」

「ちょっと。」

「サボりか?」

「違います。岡崎部長に話し掛けられて。」

「岡崎部長が?何だったんだよ。」

「昔の知り合いだったので挨拶だけ。」

「ふ~ん。」


興味なさげな返答だ。

まあ、興味もないだろうが………。


「青山って彼氏いる?」

「えっ?」

「だって浮いた噂も聞かないし。見た目だけは抜群だろ。」

「嫌みです?」

「褒めてんだよ。」


いちいち棘がある。

チラリと渡部さんを見上げる。見た目は抜群なのは渡部さんもだろう。

背も高く、スタイルも悪くない、まあ顔も整ってる方だ。社内では人気の高い社員だ。


「そのままお返しします。」

「何を?」

「見た目だけは抜群。渡部さんも浮いた噂を聞かないですけど。」

「俺?興味ある?」

「ないです。」


いつもの私達の会話だ。傍から聞けば、冷めた会話だが、これが普通で楽なのだ。
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