悪魔の囁きは溺愛の始まり
鞄から聞こえてくる着信音に足を止めた。


「もしもし。」

「一花、家か?」

「今、玄関。用件は何ですか?」

「明日、8時に迎えに行く。」

「………目立ちますから。私がお伺いします。」

「…………お伺い?チッ。」


舌打ちが聞こえてきた。


「夜だから迎えに行く。着いたら連絡する。」

「はい。」

「チッ、敬語で話すな。明日、約束を破るなよ、一花。」


携帯が切れた。

鞄に携帯を戻して家に入れば、リビングには両親が寛いでいた。


「おかえり、遅かったな。」

「うん、仕事で。明日は夜ご飯いらないから。」

「わかった。」

「着替えてくる。」


二階にある自分の部屋へ入り、ベッドに寝転んだ。

目を閉じて考えるのは蒼大さんだ。


「ヤバい………蒼大さんの事しか考えてない。」


今日、蒼大さんと再会してから頭の中には再会した蒼大さんが思い浮かんでいる。

ハワイでの蒼大さんは………今とは別人のように雰囲気が違っていた。


「私は昔と変わってないって事?」


そんな疑問がふと浮かんだ。
< 59 / 200 >

この作品をシェア

pagetop