悪魔の囁きは溺愛の始まり
手を繋がれ、店内の奥の方へと案内される。

店の名前からすると――――


「マリンコーポレーションの店でしょ?」

「そう。来たことあるか?」

「あります。」


刺々しく呟いた。

何故ならきっと――――


「あるんだ。ファミレスだから、一花は来たことないかと思ってた。」

「あります。普通に来ます。蒼大さんこそ、滅多に来ないでしょ?」

「俺?普通に使うけど。」

「私も普通に使います。」


セレブと勘違いしてない?

普通に使うし。


「そう言えば………うろ覚えだけど、蒼大さんってお爺さんの会社で修行してるって……。」

「そうだけど。」

「嘘?まさか………ここ?」

「そう、驚いた?」


驚くだろ。

桁違いにセレブじゃないのか?

マジマジと目の前に座る蒼大さんを見てしまう。着ている服も時計も高級に見えてきた。


「感じなかったって事は、一花の身近な人達と変わらないからだろ?」

「いやいや、うちは小さいから……。」

「俺もまだ部長だから。そんなに稼いでない。」
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