悪魔の囁きは溺愛の始まり
蒼大さんと目が合う。


「一花だけはフリーだったんだ。」

「………ハワイの話?それとも帰国してからの話?」

「帰国してから。ずっと本当に誰とも付き合わなかった?」

「まあ。蒼大さんも?信じられない気もするけど。」

「信じろ。」


睨まれた。

会社では凄くモテるみたいな話を聞かされたが、本当に彼女はいなかったんだ。

蒼大さんの少し怒った言い方に、真実なんだと思う事にした。


「一花、そろそろ目的地に行くぞ。」

「うん、っで、どこなの?」

「見ればきっと分かる。」


蒼大さんの意味深な言葉に頭の中で想像していた。

きっとわかる?

ハワイに関連してそうなのは理解していた。でも何を見せたいのか?

ハワイのお店?

ずっと蒼大さんの車の中で考えていれば、クスリと笑う声が聞こえてきた。

運転している蒼大さんを見れば目と目が合った。


「蒼大さん?」

「いや、一花の考えてる事が手に取るように伝わってくるなって。」


嬉しそうに前を向いて運転している。

その表情が凄く幸せそうに見えた。
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