悪魔の囁きは溺愛の始まり
「完全に信用してない………。今の俺には堪える。」


「………。」


「蒔いたのは俺だけど、今の俺でも信用してないって話だろ?」



蒼大さんが溜め息を吐いた。



「どうしたら信用してくれる?また俺の前から消えるのか?」


「消えない。」


「なら、来週も再来週も一緒にいてくる?ずっと付き合ってくれる?」


「いるよ。」


「でも完全に信用はしてない。」


「蒼大さんの心の中までは私には分からない。ただ………。」



じっと私を見つめる蒼大さんを見つめ返す。


蒼大さんも私が言おうとしている言葉が分かるだろう。



「一度植え付けられた感情は中々消せない。蒼大さんが私を信用していないように。」


「俺は信用してない訳じゃない。」


「ううん、信用してない。だから何度も確認してくるんでしょ?『消えないよな?』って口癖のように。」



黙り込む蒼大さんを見つめる。


私も蒼大さんの本心を探っている。


同じように蒼大さんも私の気持ちを確認している。
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