嫌いなアイツとの恋愛のやり方
聞いているのかもわからないが、黙々と食べている彼に向かって発した。

食べている最中の少しの沈黙が気まづい。

淡々と食べて続けた結果、ペロリと一粒残さず平らげたようで、ふと顔をあげた。

「ありがとう。 美味しかった」

そのなんともいえない優しい笑顔は、弱っているからなのか、私の胸に響いた。

「っ…… あ、じゃあ薬飲まないと… 」

彼が買ってきたビール袋から風邪薬とお水を彼に渡す。

ゴクゴクっと喉を鳴らしながら飲む姿は、不謹慎だがとても色っぽく感じた。
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